本ページはアフィリエイト広告を利用しています。掲載内容は各社公式サイトの公表値です。

会社が何もしないまま6か月たつと、この制度は閉じる

会社が潰れて給料が払われないまま辞めた人には、未払賃金の8割を国が立て替える制度があります。ところが多くの人が「会社が破産手続をしてくれないと使えない」と思い込み、待っているうちに期限が来ます。実際には、労働者の側から動かせます。そして退職後6か月という壁があります。ここを整理します。

本ページは制度の一般的な整理です。適用の可否は労働基準監督署および独立行政法人労働者健康安全機構が判断します。個別の事案は、お住まいまたは会社所在地を管轄する労働基準監督署にご相談ください。
このページの内容
  1. どんな制度か
  2. 倒産には2種類ある
  3. 6か月の壁
  4. 対象になる賃金・ならない賃金
  5. いくら受け取れるか
  6. 状況ごとの考え方
  7. 申請の順序
  8. 残りの2割はどうなるか
  9. よくある取りこぼし
  10. よくある疑問

どんな制度か

正式には未払賃金立替払制度といいます。企業の倒産により賃金が未払いのまま退職した人に対し、独立行政法人労働者健康安全機構が未払賃金の一部を立て替えて支払う制度です。国の制度なので、会社にお金が残っていなくても支払われます。

制度の骨格(労働者健康安全機構の公表内容より)

項目内容
実施主体独立行政法人労働者健康安全機構
事業主の要件労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業で、1年以上事業活動を行っていた事業主
立替払の割合未払賃金総額の100分の80
対象の下限未払賃金総額が2万円未満のときは対象外
請求期限破産手続開始等の決定日・命令日の翌日、または監督署長の認定日の翌日から起算して2年以内
請求先労働者健康安全機構(船員は地方運輸局)

「1年以上事業活動を行っていた」ことが要件なので、設立まもない会社は対象外になり得ます。

倒産には2種類ある

ここがこの制度でいちばん誤解される部分です。倒産は「法律上の倒産」と「事実上の倒産」の2つに分かれ、後者は労働者の側から動かせます。

2つの倒産

区分内容誰が動くか
法律上の倒産破産手続開始の決定(破産法)/特別清算手続開始の命令(会社法)/再生手続開始の決定(民事再生法)/更生手続開始の決定(会社更生法)会社または債権者が裁判所へ申し立てる
事実上の倒産企業が倒産して事業活動が停止し、再開する見込みがなく、かつ賃金支払能力がない状態になったことについて労働基準監督署長の認定があった場合(中小企業事業主のみ)退職した労働者が労働基準監督署へ認定を申請できる

事実上の倒産の認定申請について、厚生労働省のQ&Aは「退職した方のうちどなたか一人が申請していただければ結構です」としています。全員でそろって申請する必要はありません。

会社が破産手続をしてくれない、社長と連絡が取れない、事務所がもぬけの殻になっている。こういう状況でも、中小企業であれば労働基準監督署に「事実上の倒産」の認定を申請する道があります。会社の協力を待つ必要はありません。

6か月の壁

この制度でいちばん取り返しがつかないのがここです。労働者健康安全機構は、対象となる労働者を「裁判所への破産手続開始等の申立日(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署長に対する事実上の倒産の認定申請日(事実上の倒産の場合)の6か月前の日から2年の間に当該企業を退職した方」としています。

そして注記として「退職後6か月以内に裁判所への破産手続開始の申立て又は労働基準監督署長への認定申請がなされなかった場合は、立替払の対象とはなりません」と明記されています。

この6か月で何が起きなければならないか

「会社が破産するのを待つ」という姿勢がいちばん危険です。倒産した会社は破産手続の費用すら出せないことがあり、その場合、裁判所への申立ては永久に行われません。待っているあいだに6か月が過ぎ、制度が使えなくなります。退職したら、まず自分の退職日から6か月後がいつかを確認してください。

対象になる賃金・ならない賃金

未払いの全額が対象になるわけではありません。対象は「退職日の6か月前の日から機構に対する立替払請求の日の前日までの間に支払期日が到来している『定期賃金』及び『退職手当』」です。

立替払の対象

項目扱い
毎月の給与(定期賃金)対象(退職日の6か月前以降に支払期日が来たもの)
退職手当(退職金)対象
賞与その他臨時に支払われる賃金対象外
解雇予告手当対象外
賃金の延滞利息対象外
年末調整の税金の還付金対象外
慰労金・祝金など恩恵的または福利厚生上の給付対象外
実費弁償としての旅費・用品代等対象外

ボーナスが出ないまま倒産した、というケースでは、その賞与分は立替払の対象になりません。給与と退職金が中心だと考えてください。

いくら受け取れるか

立替払されるのは未払賃金総額の100分の80です。ただし年齢に応じた上限があります。

退職日の年齢による上限

退職日の年齢未払賃金総額の限度額立替払の上限額(8割)
30歳未満110万円88万円
30歳以上45歳未満220万円176万円
45歳以上370万円296万円

基準になるのは「退職日」の年齢です。未払額が限度額を超えていても、立替払は上限額で頭打ちになります。

また未払賃金総額が2万円未満のときは対象外です。

状況ごとの考え方

会社が事業を止めたが、破産手続はしていない

中小企業であれば「事実上の倒産」として、労働基準監督署に認定を申請できます。会社が動かなくても進められます。退職日から6か月以内に申請してください。

社長と連絡が取れない

会社の協力が得られなくても、労働基準監督署の認定という道があります。給与明細・雇用契約書・タイムカードの控えなど、手元にある記録を集めて監督署に相談してください。

同僚は動く気がない

厚生労働省のQ&Aは、事実上の倒産の認定申請について「退職した方のうちどなたか一人が申請していただければ結構です」としています。自分ひとりでも申請できます。

退職してから5か月が過ぎている

残り1か月です。会社が破産手続を申し立てる見込みがないなら、自分で認定申請に動くほかありません。すぐ監督署に相談してください。

退職金が出ないまま会社が潰れた

退職手当は立替払の対象です。ただし就業規則などで支給されることが定まっていることが前提になります。規程の写しが手元にあるか確認してください。

ボーナスが未払いのまま倒産した

賞与その他臨時に支払われる賃金は対象外です。この分は立替払では戻りません。

まだ在職しているが、給料が3か月遅れている

立替払は退職した人が対象です。在職中の未払いは、まず労働基準監督署への申告や請求という別の手順になります。

会社とのやりとりが進まないとき

退職の意思を伝えても返事がない、連絡が取れないという状態では、退職日そのものが確定しません。退職日が決まらないと、6か月の起算点も決まりません。ひとりで進めるのが難しい場合は、相談できる窓口があります。

料金・対応範囲は公式サイトの公表値です。法律事務は弁護士のみが行えます。相談は無料。広告(PR)を含みます。

申請の順序

この順に動く

  1. 自分の退職日を確定させる6か月の起算点になります。離職票や退職証明書で日付を押さえてください。
  2. 会社が破産手続を申し立てる見込みがあるかを確認する見込みがあるなら、申立てを待って手続きが進みます。見込みがないなら次へ。
  3. 労働基準監督署に「事実上の倒産」の認定申請を相談する中小企業事業主の場合の道です。退職した人のうち誰か一人が申請すれば足ります。
  4. 未払額を証明できる資料をそろえる給与明細、雇用契約書、就業規則(退職金規程)、タイムカードの控え、振込記録など。会社に残っていないことを前提に、自分の手元にあるものを集めます。
  5. 認定または裁判所の決定を待つここで立替払の前提が整います。
  6. 労働者健康安全機構へ立替払を請求する請求期限は、決定日・命令日の翌日、または監督署長の認定日の翌日から起算して2年以内です。船員は地方運輸局が提出先になります。

残りの2割はどうなるか

立替払は未払賃金総額の8割です。残りの2割は自動的には戻りません。

厚生労働省は、機構について「独立行政法人労働者健康安全機構は、立替払を行った分の労働者の賃金債権を代位取得し、本来の支払責任者である事業主へ求償しています」と説明しています。つまり機構が肩代わりしたのは8割分だけで、その8割については機構が会社に請求します。

残りの2割は、引き続き自分が会社に対して持っている債権です。破産手続の中で配当を受けられる可能性はありますが、実際に回収できるかは会社に財産が残っているかによります。期待しすぎず、まず8割を確実に受け取ることを優先してください。

よくある取りこぼし

会社が破産するのを待ってしまう

破産手続には費用がかかります。費用が出せない会社は永久に申し立てません。退職後6か月以内に何も起きなければ、制度は使えなくなります。

自分ひとりでは申請できないと思う

事実上の倒産の認定申請は、退職した方のうちどなたか一人が申請すれば足ります。

賞与や解雇予告手当も戻ると思う

対象は定期賃金と退職手当です。賞与、解雇予告手当、延滞利息、年末調整の還付金、慰労金、実費弁償の旅費などは対象外です。

未払額が少額でも申請できると思う

未払賃金総額が2万円未満のときは対象外です。

全額戻ると思う

8割です。しかも年齢別の上限があり、45歳以上でも立替払は296万円が上限です。

2年の期限を退職日から数えてしまう

請求期限の起算日は、破産手続開始等の決定日・命令日の翌日、または監督署長の認定日の翌日です。退職日ではありません。

記録を会社に置いてきてしまう

倒産後は資料が散逸します。給与明細・契約書・就業規則・タイムカードの控えは、辞める前に手元に確保してください。

よくある疑問

会社が破産手続をしてくれません。使えませんか。

中小企業事業主であれば「事実上の倒産」として、労働基準監督署長の認定を受ける道があります。退職した方のうちどなたか一人が認定を申請できます。

いつまでに動けばよいですか。

退職後6か月以内に、裁判所への破産手続開始の申立て、または労働基準監督署長への認定申請がなされている必要があります。この期間を過ぎると対象になりません。

いくら受け取れますか。

未払賃金総額の8割です。上限は退職日の年齢により、30歳未満88万円、30歳以上45歳未満176万円、45歳以上296万円です。

賞与も対象になりますか。

なりません。賞与その他臨時に支払われる賃金、解雇予告手当、賃金の延滞利息などは対象外です。

退職金は対象になりますか。

退職手当は対象です。定期賃金とあわせて、退職日の6か月前の日から立替払請求の日の前日までに支払期日が到来しているものが対象になります。

未払いが1万円しかありません。

未払賃金総額が2万円未満のときは対象外です。

請求はいつまでにしますか。

法律上の倒産は裁判所の決定日・命令日の翌日から、事実上の倒産は監督署長の認定日の翌日から、それぞれ起算して2年以内です。

どこに請求しますか。

独立行政法人労働者健康安全機構です。船員については提出先が地方運輸局になります。

残りの2割はどうなりますか。

機構は立替払を行った分の賃金債権を代位取得し、事業主へ求償しています。残りの2割は引き続き自分が会社に対して持つ債権で、回収できるかは会社の財産次第です。

設立してまだ1年経っていない会社です。

事業主の要件は「労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行っていた事業主」です。1年に満たない場合は対象外になり得ます。

在職中ですが給料が払われていません。

この制度は退職した人が対象です。在職中の未払いについては、労働基準監督署への相談や請求という別の手順になります。

何を用意すればよいですか。

未払額を示す資料です。給与明細、雇用契約書、就業規則(退職金規程)、タイムカードの控え、振込記録など。会社に資料が残っていない前提で、手元のものを集めてください。

運営元の違い退職時に給与が支払われないとき離職理由コードで決まる3つのこと家賃が払えないときの制度離職票が届かないとき

退職代行 総合ガイドの記事一覧

一次情報の確認先

本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。

関連する情報サイト