本ページはアフィリエイト広告を利用しています。掲載する制度の記載は、厚生労働省・個人情報保護委員会の公表内容にもとづきます。

その質問は、あなたの能力とは関係がない

面接で家族の職業を聞かれた。愛読書を聞かれた。戸籍謄本を出せと言われた。厚生労働省は、こうした質問を「就職差別につながるおそれがある14事項」として挙げています。基準はひとつで、本人の適性・能力に関係があるかどうか。原文のまま並べます。

本ページは厚生労働省・個人情報保護委員会が公表している資料の一般的な整理です。個別の質問や書類の求めが不適切に当たるかどうかの判断は、ハローワーク(公共職業安定所)または都道府県労働局が行います。実際に困っている場合は、最寄りの窓口にご相談ください。
このページの内容
  1. 基準はひとつだけ
  2. 14事項(原文)
  3. 3つの注記が実務では効く
  4. 実際に何が多いのか
  5. なぜ聞いてはいけないのか
  6. AI選考でも同じ
  7. 聞かれたらどうするか
  8. 「違法」とは書かれていない
  9. 確認の順序
  10. 確認に使った一次情報
  11. よくある疑問

基準はひとつだけ

厚生労働省は、公正な採用選考の基本を2点に整理しています。

公正な採用選考の2つの基本(厚生労働省)

内容(原文)
1応募者に広く門戸を開く
出自、障害、難病の有無及び性的マイノリティなど特定の人を排除せず、求人条件に合致する全ての人が応募できるようにすること。
2本人のもつ適性・能力に基づいた採用基準とする
「応募者が、求人職種の職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうか」という基準で採用選考を行うこと。

出典:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「求職者の皆様へ」。

そして、こう続きます。

「本人に責任のない事項」や「本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)」は、そもそも本人の適性・能力とは関係のないことです。

14事項は、この2つの分類から出てきています。だから「なぜこの質問がだめなのか」に迷ったら、本人に責任があるか/本来自由であるべきかで考えると筋が通ります。

14事項(原文)

就職差別につながるおそれがある14事項(厚生労働省・原文)

区分事項
(a)本人に責任のない事項の把握本籍・出生地に関すること
住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
生活環境・家庭環境などに関すること
(b)本来自由であるべき事項
(思想・信条にかかわること)の把握
宗教に関すること
人生観・生活信条などに関すること
思想に関すること
購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
支持政党に関すること
尊敬する人物に関すること
労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
(c)採用選考の方法身元調査などの実施
合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用

出典:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時に配慮すべき事項」。名称は原文のまま。厚生労働省は「※これらに限られるわけではありません。」と付記しています。

3つの注記が実務では効く

14事項の表には、3つの注記が付いています。実際に困るのはこの注記の部分です。

(注1)「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します。

(注2)「現住所の略図等」は、住宅状況や生活環境などを把握したり、身元調査につながる可能性があります。

(注3)採用選考時において合理的・客観的に必要性が認められない「健康診断書」を提出させることを意味します。

注記が指しているもの

求められるもの厚生労働省の位置づけ
戸籍謄本・戸籍抄本本籍・出生地の把握に該当
本籍が記載された住民票(写し)本籍・出生地の把握に該当
現住所の略図住宅状況の把握・身元調査につながる可能性
健康診断書(合理的・客観的な必要性が無い場合)14事項の(c)に該当

「住民票」そのものが常に該当するわけではありません。注記は「本籍が記載された」ものを指しています。詳しくは出せと言われた書類で整理します。

実際に何が多いのか

厚生労働省は、ハローワークが把握した件数を公表しています。

応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があったもののうち、「家族に関すること」の質問が多くを占めています。
※令和6年度にハローワークで把握した854件の内訳

年に854件、ハローワークが把握しています。そして最も多いのが家族の質問。あなただけが特別な目に遭っているわけではない、ということです。

厚生労働省は理由もこう書いています。

面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いようですので、注意しましょう。

この一文は事業主に向けたものです。つまり、悪意なく聞かれることが多い。そこが対応を難しくします。

なぜ聞いてはいけないのか

厚生労働省のQ&Aは、家族と住宅の質問について理由を書いています。

面接時に家族についてたずねることは、例えば家族の離死別・失業などそれぞれの家族の様々な事情に立ち入ることになり、本人を傷つけたり、動揺させて面接時に実力を発揮できなくさせたりすることで結果的にその人を排除してしまうことにもなりかねません。

また、住宅状況などについてたずねることは、本人や家族の生活水準(収入水準・家柄など)を推測し、それに基づいて人物を評価しようとする考え方に結び付くおそれがあります。

「動揺させて実力を発揮できなくさせる」——ここが実感に近いところです。答えたくない質問に答えたあと、その面接の残りがうまくいかない。それ自体が排除にあたる、と厚生労働省は書いています。

AI選考でも同じ

Q&Aには、新しい注記が入っています。

※AIの活用を含むいかなる方法による選考であっても、「応募者に広く門戸を開く」「応募者の適性・能力に基づいた採用基準とする」という公正な採用選考の基本的な考え方を遵守する必要があります。

AI面接・AIによる書類スクリーニングでも、基準は変わりません。「機械が判断したから」は説明になりません。AI面接の設問に14事項が含まれていた場合も、同じ話です。

聞かれたらどうするか

その場でどう答えるかは、状況によって変わります。厚生労働省は「答えなくてよい」とは書いていません。書いてあるのは、事業主に周知・啓発をしていること、そして相談先です。

その場の選択肢

どれが正解ということはありません。ただし、どれを選んでも「記録する」は共通です。

答える

答えたこと自体は問題になりません。ただし、答えた内容が採否に影響した可能性は残ります。あとで相談するときのために、聞かれた質問と日付を記録しておいてください。

答えずに、質問の意図を聞き返す

「その質問は、仕事のどの部分に関係しますか」と聞き返す方法があります。合理的な必要性があるなら説明が返ってきます。返ってこないなら、それ自体が記録になります。

その場では流して、あとで相談する

面接の場で争わない、という選択です。厚生労働省の相談先はハローワークと都道府県労働局です。どこに相談するか

面接で困ったやり取りを、間に入って伝えてもらう

転職エージェントを経由している場合、企業とのやり取りを担当者に相談できます。応募の前に登録だけしておく使い方もあります。

運営:株式会社MyVision(有料職業紹介事業許可番号 13-ユ-314719/東京労働局)。面談は無料・オンライン対応。広告(PR)を含みます。

「違法」とは書かれていない

ここは正確に書きます。厚生労働省は14事項について「就職差別につながるおそれがある」と書いており、「違法」とは書いていません。

何が定められていて、何が定められていないか

位置づけ
14事項を聞くこと厚生労働省が事業主に周知・啓発している事項。「おそれがある」という書き方
性別を理由とする差別男女雇用機会均等法で禁止
募集・採用時の年齢制限労働施策総合推進法で原則禁止
求職者等の個人情報の取扱い職業安定法 第5条の5に定めがある
部落差別「部落差別の解消の推進に関する法律」が平成28年12月に公布・施行

この表は制度の位置づけの整理です。個別の事案がどの法律に当たるかの判断は、ハローワーク・都道府県労働局にご確認ください。

「違法だから訴える」ではなく、「不適切な選考が行われている」という情報を行政に届ける——それが14事項の使い方です。ハローワークが年に854件把握しているのは、そうやって届いた分です。

確認の順序

面接で違和感があったとき

聞かれてはいけない14事項面接で聞かれたとき出せと言われた書類健康診断と既往歴不採用のあとの応募書類どこに相談するか

確認に使った一次情報

よくある疑問

答えてしまいました。取り消せますか。

答えた内容を撤回する手続きは定められていません。ただし、そのやり取りがあったこと自体を行政に伝えることはできます。記録を持ってハローワークに相談してください。

聞かれただけで、不採用になったわけではありません。相談してよいですか。

厚生労働省は「上記のような質問があった場合、その他ご不明な点がありましたら」と書いており、不採用になったかどうかを条件にしていません。

アルバイトやパートの面接でも同じですか。

公正採用選考特設サイトは雇用形態を限定していません。ただし個別の判断は窓口にご確認ください。

面接官が悪気なく聞いた感じでした。

厚生労働省自身が「面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多い」と書いています。悪意の有無は、14事項に当たるかどうかとは別の話です。

エントリーシートに記入欄がありました。

厚生労働省は「エントリーシート・応募用紙・面接・作文などによって把握すること」と書いており、面接に限りません。インターネットの応募用入力画面も含むと明記されています。

14事項に載っていない質問でも問題になりますか。

厚生労働省は「※これらに限られるわけではありません。」と付記しています。基準は「本人の適性・能力に関係があるか」です。

採用選考の法令ガイドの記事一覧

一次情報の確認先

本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。

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