条文は3つ目の区分を作った
副業や兼業をしている人のけが・病気について、条文は業務災害でも通勤災害でもない、もうひとつの区分を置いています。給付の名前も全部別に用意されています。
本サイトは e-Gov法令検索で確認した条文を整理したものです。実際に労災と認められるかどうか・給付の種類・金額は、労働基準監督署の調査と認定によって決まります。請求と最終的な判断は、勤務先を管轄する労働基準監督署にご確認ください。本サイトは病気やけがの症状・診断・治療については扱いません。傷病等級・障害等級の認定基準にも踏み込みません。
「複数事業労働者」は第1条に定義がある
言葉の定義は、目的を定めた第1条の中に置かれています。
「事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者(以下「複数事業労働者」という。)」
「事業主が同一人でない」がポイントです。同じ会社の中で複数の部署や店舗にまたがっているだけでは、この定義にあたりません。あてはまるかの判断は労働基準監督署が行います。
第7条第1項第二号
「二複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。以下同じ。)の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「複数業務要因災害」という。)に関する保険給付(前号に掲げるものを除く。以下同じ。)」
3つの区分の関係
| 区分 | 条文の言葉 | 順序 |
|---|---|---|
| 業務災害 | 労働者の業務上の負傷等(第一号) | まずこちらを見る |
| 複数業務要因災害 | 二以上の事業の業務を要因とする負傷等(第二号) | 第一号にあたるものを除く |
| 通勤災害 | 労働者の通勤による負傷等(第三号) | 別の区分 |
2026年9月15日に e-Gov法令検索で労働者災害補償保険法第7条第1項を確認しました。第二号の括弧書きが「前号に掲げるものを除く」としています。1つの会社の業務だけで説明がつくなら業務災害で、そちらが先です。
「二以上の事業の業務を要因とする」の中身は、条文に書かれていません。どのような場合に複数の事業の業務が要因になるかは、厚生労働省令・告示と行政解釈、そして労働基準監督署の認定によります。本サイトでは断定しません。
給付の名前がすべて別
第20条の2は、複数業務要因災害の給付を列挙しています。
第12条の8(業務災害)と第20条の2(複数業務要因災害)
| 業務災害(第12条の8) | 複数業務要因災害(第20条の2) | |
|---|---|---|
| 治療 | 療養補償給付 | 複数事業労働者療養給付 |
| 休業 | 休業補償給付 | 複数事業労働者休業給付 |
| 障害 | 障害補償給付 | 複数事業労働者障害給付 |
| 死亡 | 遺族補償給付/葬祭料 | 複数事業労働者遺族給付/複数事業労働者葬祭給付 |
| 長期 | 傷病補償年金/介護補償給付 | 複数事業労働者傷病年金/複数事業労働者介護給付 |
2026年9月15日に e-Gov法令検索で第12条の8・第20条の2を確認しました。業務災害の給付には「補償」が付き、複数業務要因災害の給付には付きません。条文が名前を分けています。
名前が違うのは形式の問題ではありません。労働基準法の災害補償は「業務上」を対象にしているため、「補償」という語が入る給付と入らない給付で、使用者の責任の関係が変わります。 → 最初の3日間は誰が払うのか
職場から職場への移動
通勤の定義にも、複数の職場をもつ人のための号があります。第7条第2項です。
「二厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動」
1つ目の職場から2つ目の職場へ向かう移動も、条文上は通勤の一類型として置かれています。ただし「厚生労働省令で定める就業の場所から」という限定があります。あてはまるかは労働基準監督署にご確認ください。
状況別の考え方
2社で働いていて、片方の仕事が原因でけがをした
両方の仕事の負担が重なって体調を崩した
1社目から2社目へ移動する途中でけがをした
同じ会社の別店舗をかけもちしている
個人事業と会社員を兼ねている
よくある取りこぼし
副業のぶんは労災の対象外だと思っていた
第7条第1項第二号に複数業務要因災害の区分があります。
業務災害と同じ手続だと思っていた
給付の名前が第20条の2ですべて別に定められています。
同じ会社の掛け持ちも対象だと思っていた
第1条は「事業主が同一人でない」としています。
どちらの会社の労災かを選べると思っていた
第二号は「前号に掲げるものを除く」としています。まず業務災害にあたるかを見ます。
職場から職場への移動は通勤ではないと思っていた
第7条第2項第二号が挙げています。
「複数業務要因」の基準が条文にあると思っていた
条文に定義はありません。省令・告示と行政解釈、監督署の認定によります。
よくある疑問
いつからある制度ですか
給付の額はどちらの会社を基準にしますか
会社に副業を知られますか
アルバイトを2つかけもちしています
最初の3日間の扱いは業務災害と同じですか
確認に使った一次情報
- 労働者災害補償保険法 第1条/第7条/第12条の8/第14条/第20条の2e-Gov法令検索
- 労働者災害補償保険法施行規則 第8条(日常生活上必要な行為)e-Gov法令検索
- 労働基準法 第76条(休業補償)/第84条(他の法律との関係)e-Gov法令検索
2026年9月15日に e-Gov法令検索で確認した条文です。条文に書かれていない部分(「業務上」の意味、逸脱・中断にあたらない行為の範囲、傷病等級の中身など)は、省令・告示・行政解釈と、労働基準監督署の個別の認定によります。本サイトでは断定しません。
かけもちを続けるかどうかも、選択肢のひとつ
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