失業保険の答えは
雇用保険法に書いてある
「給付制限は2か月」「所定給付日数は90日」——よく見る説明ですが、条文はそう断定していません。幅を持たせている箇所と、はっきり決まっている箇所を分けて読むのが近道です。
本サイトは e-Gov法令検索で確認した条文を整理したものです。実際に支給されるかどうか・給付制限の長さ・必要書類は、離職の理由と個別の事情によって変わります。手続きと最終的な判断は、住所地を管轄するハローワークにご確認ください。
条文の並びを追う
失業保険(雇用保険法では「基本手当」といいます)の支給は、次の順に条文が並んでいます。
基本手当が支給されるまでの条文の並び
- 第13条 受給資格離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あることが原則。
- 第14条 被保険者期間賃金支払の基礎となった日数で数える。暦の月数そのものではありません。
- 第15条 失業の認定「失業していることについての認定」を受けた日について支給される。
- 第21条 待期求職の申込みをした日以後、失業している日が通算して7日に満たない間は支給しない。
- 第33条 給付制限自己都合などの場合、待期の満了後1か月以上3か月以内で公共職業安定所長が定める期間は支給しない。
- 第22条・第23条 所定給付日数何日分もらえるか。一般の離職者と特定受給資格者で表が違う。
- 第20条 受給期間支給を受けられる期間の上限。原則として離職の日の翌日から1年。
「いつから」を決めるのが21条と33条、「何日分」を決めるのが22条と23条、「いつまで」を決めるのが20条です。この3つを分けて考えると混乱しません。
条文で決まること・決まらないこと
どこまでが条文で、どこからが運用か
| 項目 | 条文の書き方 | 誰が決めるか |
|---|---|---|
| 待期 | 「通算して七日」と明記(21条) | 条文で確定 |
| 給付制限の長さ | 「一箇月以上三箇月以内」の幅(33条1項) | 公共職業安定所長(厚生労働大臣の基準に従う・33条2項) |
| 所定給付日数(一般) | 20年以上150日/10年以上20年未満120日/10年未満90日(22条1項) | 条文で確定 |
| 所定給付日数(会社都合) | 年齢×算定基礎期間の表(23条1項) | 条文で確定 |
| 特定受給資格者にあたるか | 倒産・解雇など類型を列挙(23条2項) | ハローワークの判断 |
| 失業しているかの認定 | 「失業の認定」(15条) | ハローワークの判断 |
2026年9月14日に e-Gov法令検索で確認しました。「条文で確定」の欄も、前提となる区分(一般か特定受給資格者か)の判断はハローワークが行います。
給付制限の長さを「1か月」「2か月」と断定している説明をよく見かけますが、条文は「一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」としています。個別の事情で変わりうる、という書き方です。→ 給付制限は1か月と決まっていない
自分の場合を確かめる順序
確かめる順序(この順に見ると早い)
- ①受給資格があるか 離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上か(13条)
- ②一般か、特定受給資格者か 倒産・解雇等にあたるか(23条2項)
- ③就職困難者にあたるか 厚生労働省令で定める理由により就職が困難か(22条2項)
- ④算定基礎期間は何年か 同一事業主に被保険者として雇用された期間(22条3項)
- ⑤所定給付日数 ②③④の組み合わせで表から読む(22条・23条)
- ⑥給付制限があるか 自己都合・重責解雇にあたるか(33条1項)
- ⑦受給期間内に収まるか 原則として離職の日の翌日から1年(20条)
②と③はハローワークが判断します。自分で決められません。離職票に書かれた離職理由に納得できないときは、ハローワークで異議を申し立てる手続きがあります。
状況別の考え方
自己都合で辞めた
会社の倒産・解雇で辞めた
勤続年数が短い
65歳以降に辞めた
すぐに次の仕事が決まりそう
よくある取りこぼし
待期7日を「連続7日」だと思っていた
第21条は「通算して七日」です。連続である必要は条文に書かれていません。
給付制限が必ず2か月だと思っていた
第33条1項は「一箇月以上三箇月以内」の幅で定めています。
所定給付日数が年齢で決まると思っていた
一般の離職者(22条1項)は算定基礎期間だけで決まり、年齢は関係しません。年齢が効くのは特定受給資格者(23条)と就職困難者(22条2項)です。
被保険者期間を「在籍した月数」で数えていた
第14条は賃金支払の基礎となった日数で数えます。暦の月数とは一致しないことがあります。
受給期間(20条)と所定給付日数(22条)を混同していた
「いつまでに受け取るか」と「何日分受け取るか」は別の条文です。
離職理由は会社が決めたとおりだと思っていた
離職票の離職理由に異議を申し立てる手続きがあります。ハローワークにご相談ください。
よくある疑問
自分の所定給付日数はどこで分かりますか
給付制限の期間を短くできますか
アルバイトをすると失業保険は止まりますか
何日分もらえるか知りたい
いくらもらえるか計算したい
確認に使った一次情報
- 雇用保険法 第13条(基本手当の受給資格)/第14条(被保険者期間)/第15条(失業の認定)/第16条(基本手当の日額)/第17条(賃金日額)/第20条(支給の期間及び日数)/第21条(待期)/第22条(所定給付日数)/第23条(特定受給資格者)/第33条(給付制限)/第37条の2〜第37条の4(高年齢被保険者・高年齢求職者給付金)e-Gov法令検索
2026年9月14日に e-Gov法令検索で確認した条文です。条文の適用は個別の事情によります。住所地を管轄するハローワークにご確認ください。
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