条文は「一箇月以上三箇月以内」としか書いていない
「自己都合だと2か月待つ」「いまは1か月に短縮された」——説明の数字がサイトによって違うのは、条文がひとつの数字を決めていないからです。雇用保険法第33条第1項を、そのまま読んでみます。
本サイトは e-Gov法令検索で確認した条文を整理したものです。実際に支給されるかどうか・給付制限の長さ・必要書類は、離職の理由と個別の事情によって変わります。手続きと最終的な判断は、住所地を管轄するハローワークにご確認ください。
第33条第1項の全文
「被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。」
読みどころは3つあります。
第33条第1項が定めていること
- 対象は2つ ①自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇 ②正当な理由がなく自己の都合による退職
- 起算点は待期の満了後 「第二十一条の規定による期間の満了後」=通算7日の待期が終わったあと
- 長さは幅で定めている 「一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」
つまり条文は「1か月」とも「2か月」とも「3か月」とも書いていません。1か月から3か月までの幅の中で、公共職業安定所長が定める、という構造です。
誰が決めるのか
第33条第2項が、判断の主体と基準を定めています。
「受給資格者が前項の場合に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つてするものとする。」
決まり方の階層
| 階層 | 何を決めるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 法律 | 1か月以上3か月以内という幅 | 第33条第1項 |
| 厚生労働大臣 | 認定の基準 | 第33条第2項 |
| 公共職業安定所長 | 個別の期間 | 第33条第1項・第2項 |
2026年9月14日に e-Gov法令検索で確認しました。本サイトでは厚生労働大臣が定める基準の内容には踏み込みません。基準は改正されることがあります。ハローワークにご確認ください。
だから「いま何か月か」を正確に知りたいときは、ハローワークに聞くのが唯一の方法です。解説サイトの数字は、その時点の運用を書いたものです。
ただし書の例外
第33条第1項にはただし書があり、3つの類型について給付制限をかけないことが定められています。
給付制限がかからない場合(第33条第1項ただし書)
- 一 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者(次号に該当する者を除く)→ 訓練を受ける期間と受け終わった日後の期間に限る
- 二 第60条の2第1項に規定する教育訓練その他の厚生労働省令で定める訓練を基準日前1年以内に受けたことがある受給資格者(正当な理由がなく自己の都合によって退職した者に限る)
- 三 前号に規定する訓練を基準日以後に受ける受給資格者(同号に該当する者を除く)→ 訓練を受ける期間と受け終わった日後の期間に限る
一号は「公共職業安定所長の指示した」訓練です。自分で選んだ講座がこれにあたるとは限りません。二号・三号は教育訓練給付の対象となる訓練を受けた(受ける)場合の規定です。
どの訓練がどの号にあたるかは、条文だけでは判断できません。訓練を受ける予定があるなら、申し込む前にハローワークにご相談ください。
待期7日との関係
給付制限の起算点は「第二十一条の規定による期間の満了後」です。第21条はこう定めています。
「基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して七日に満たない間は、支給しない。」
待期と給付制限は別のもの
| 待期(21条) | 給付制限(33条) | |
|---|---|---|
| 対象 | すべての受給資格者 | 自己都合・重責解雇の場合 |
| 長さ | 通算して7日 | 1か月以上3か月以内 |
| 起算点 | 求職の申込みをした日以後 | 待期の満了後 |
| 数え方 | 失業している日を通算(連続でなくてよい) | 期間 |
| 疾病・負傷の日 | 含む(21条括弧書き) | — |
2026年9月14日に e-Gov法令検索で確認しました。
会社都合で辞めた場合も待期7日はあります。「会社都合ならすぐもらえる」という説明は、給付制限がないという意味であって、待期がないという意味ではありません。
状況別の考え方
自己都合で辞めたが、実際は職場の事情だった
職業訓練を受けようと思っている
解雇されたが「重大な理由」と言われた
給付制限中にアルバイトをしたい
受給期間1年に間に合うか不安
よくある取りこぼし
給付制限が一律だと思っていた
第33条1項は「一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」です。
待期がないと思っていた
第21条の待期7日は、給付制限の有無にかかわらずあります。
待期を連続7日だと思っていた
条文は「通算して七日」です。
自分で選んだ講座なら給付制限が外れると思っていた
ただし書の一号は「公共職業安定所長の指示した」訓練です。
解説サイトの数字をそのまま信じていた
運用は改正されます。いま何か月かはハローワークにご確認ください。
給付制限中は何もできないと思っていた
求職活動は続けられます。再就職手当などの制度もあります。ハローワークにご確認ください。
よくある疑問
結局いま何か月ですか
待期と給付制限は同時に進みますか
給付制限中も失業の認定日に行く必要がありますか
重責解雇と普通の解雇は何が違いますか
所定給付日数は給付制限で減りますか
確認に使った一次情報
- 雇用保険法 第13条(基本手当の受給資格)/第14条(被保険者期間)/第15条(失業の認定)/第16条(基本手当の日額)/第17条(賃金日額)/第20条(支給の期間及び日数)/第21条(待期)/第22条(所定給付日数)/第23条(特定受給資格者)/第33条(給付制限)/第37条の2〜第37条の4(高年齢被保険者・高年齢求職者給付金)e-Gov法令検索
2026年9月14日に e-Gov法令検索で確認した条文です。条文の適用は個別の事情によります。住所地を管轄するハローワークにご確認ください。
給付制限の間に、次の選択肢を見ておく
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