スクールを比べる前に、公的な訓練の対象かを調べる
「未経験から学ぶ」を検索すると、まず民間スクールの比較が出てきます。ただし公的な訓練は、条件に当てはまれば受講料が無料か、費用の一部が戻ります。スクール側は自社の講座を売る立場なので、この選択肢を積極的には書きません。順序は「公的制度を確認 → 対象外の部分を民間で埋める」です。
3つの制度を分ける
まとめて「職業訓練」と呼ばれがちですが、対象者も、費用の出方も、窓口も違います。
3つの制度の違い
| 公共職業訓練(離職者訓練) | 求職者支援訓練 | 教育訓練給付 | |
|---|---|---|---|
| 主な対象 | 雇用保険の受給資格がある求職者 | 雇用保険を受給できない求職者 | 雇用保険の被保険者・被保険者だった人 |
| 受講料 | 無料(テキスト代等は自己負担) | 無料(テキスト代等は自己負担) | 自分で払い、あとから一部が支給される |
| 訓練の場所 | 公共職業能力開発施設・委託先 | 民間の認定訓練機関 | 自分で選んだ指定講座 |
| 在職中でも使えるか | 対象外 | 対象外 | 使える |
| 給付金 | 基本手当等が受けられる場合がある | 職業訓練受講給付金の制度がある(要件あり) | 受講費用の一部が支給される |
| 窓口 | ハローワーク | ハローワーク | ハローワーク |
3つとも入口はハローワークです。まずそこで、自分がどれに当たるかを確認してください。
「無料で学べる」と書かれているスクールの多くは、この公的な枠組みを使ったものです。スクール単体で無料なのではなく、制度で費用が賄われています。仕組みを知っておくと、条件の違いが読み取れます。
自分がどれに当たるか
状況別の判別
会社を辞めて、雇用保険の基本手当を受けられる
辞めたが、雇用保険を受給できない(加入期間が足りない・自営業だった等)
在職中で、働きながら学びたい
辞めたばかりで、これから学びたい
学びたい分野の講座が、公的な訓練にない
教育訓練給付の給付率と上限
教育訓練給付は3段階に分かれており、講座がどれに指定されているかで戻る額が大きく変わります。
給付率と上限(ハローワークインターネットサービスの公表内容より)
| 種類 | 給付率と上限 | 雇用保険の被保険者期間 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 受講費用の20%(上限10万円) | 3年以上(初めて受ける場合は1年以上) |
| 特定一般教育訓練 | 40%(上限20万円)。資格取得・就職した場合は50%(上限25万円) | 3年以上(初めて受ける場合は1年以上) |
| 専門実践教育訓練 | 50%(年間上限40万円)。資格取得・就職した場合は70%(年間上限56万円)。さらに賃金が5%以上上がった場合は80%(年間上限64万円) | 3年以上(初めて受ける場合は2年以上) |
50%・70%・80%の上乗せは、令和6年10月1日以降に受講を開始した場合が対象です。専門実践は最大3年間・上限192万円です。
実質の自己負担を出す
- ① 受講費用の総額入学金・受講料・教材費のうち、どこまでが対象かを確認する
- ② 給付率講座がどの種類に指定されているか
- ③ 上限額①×②が上限を超えるなら、上限が適用される
- ④ 支給の時期受講が終わってから申請する。先に全額を払う必要がある
① −(①×② と ③ の小さいほう)が実質の負担です。④が効きます。手元の資金は総額分が要ります。
対象講座かどうかの確認
すべての講座が対象ではありません。厚生労働省が指定した講座だけが対象です。
申し込む前に確認すること
- 教育訓練給付制度の検索システムで調べる:厚生労働省が講座の検索システムを公開しています
- どの種類に指定されているか:一般か、特定一般か、専門実践か。給付率が変わります
- 同じスクールでも講座単位で違う:スクール全体が対象なのではなく、講座ごとに指定されています
- 指定の期間:指定には期間があります。受講開始日の時点で指定されているかを確認します
- 自分の被保険者期間:ハローワークで照会できます。思っている年数と違うことがあります
- 前回の受給からの経過:前に受けたことがある場合、一定期間が空いている必要があります
スクールの広告に「給付金対象」と書かれていても、それが自分に適用されるかは別です。講座が指定されていることと、自分が要件を満たすことは、両方そろって初めて支給されます。
学んだあとの出口を先に確認する
学び直しの前に、その先の求人がどれくらいあるかを見ておくと、講座選びの基準が変わります。相談は無料です。
- 求人内容・支援範囲は各社公式サイトの公表値です
- 相談は無料
- 対応領域は運営元により異なります
受講前に済ませること
順序
- ① ハローワークで自分の区分を確認する雇用保険の被保険者期間、受給資格の有無。ここが全部の前提になる。
- ② 講座が指定されているかを調べる検索システムで、講座名と指定の種類を確認する。
- ③ 必要なら事前の手続きをする特定一般・専門実践は、受講開始前にキャリアコンサルティングと申請が必要。受講開始後では間に合わない。
- ④ 期限を数える離職している場合、離職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要がある。
- ⑤ 資金を確保する給付は後払い。受講料の総額を先に払える状態にする。
- ⑥ 受講する出席要件がある。欠席が多いと支給されないことがある。
- ⑦ 期限内に支給申請する受講修了後、決められた期間内に申請する。過ぎると受けられない。
③がいちばん多い失敗です。特定一般教育訓練と専門実践教育訓練は、受講を始める前にハローワークでの手続きが要ります。申し込んでから調べても戻れません。
④の起算日は離職日です。離職票が手元に届いていなくても、期限は進みます。 届かない場合の対処は離職票が届かないときにまとめています。 退職後の手続き全体の期限は退職後の手続き期限一覧を参照してください。
落とし穴
よくある失敗
スクールの比較から入る
公的な訓練の対象なら、受講料が無料になることがあります。順序は公的制度が先です。
受講開始後に手続きを知る
特定一般・専門実践は受講開始前の申請が必要です。後から遡れません。
給付が先払いだと思っている
後払いです。受講料の総額を先に用意する必要があります。
離職後1年の期限を数えていない
離職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります。
「給付金対象」の広告だけで判断する
講座が指定されていても、自分が要件を満たすかは別です。
出席要件を軽く見る
欠席が多いと支給されないことがあります。働きながらなら、通える頻度で選んでください。
学んだあとの出口を見ていない
講座を終えることが目的になりがちです。求人の量と条件を先に見てください。
学び直しの前に、求人の条件を見ておく
どの経験が評価されるかは業界で違います。学ぶ内容を決める前に確認できます。
- 求人内容・支援範囲は各社公式サイトの公表値です
- 相談は無料
- 対応領域は運営元により異なります
よくある疑問
よくある疑問
在職中でも公共職業訓練は受けられますか。
雇用保険に入っていなかった期間があります。対象になりますか。
スクールが「実質無料」とうたっています。
給付金はいつ振り込まれますか。
途中でやめたらどうなりますか。
職業訓練と民間スクール、どちらが就職に有利ですか。
異業種・未経験からの転職ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。