入学してから知ると、その分は出ません
この制度は貸付ではなく給付です。返す必要がありません。ところが調べようとすると、出てくるのは国の案内かお住まいの市のページだけで、「いつまでに、どの順番で動けばいいのか」がどこにもまとまっていません。そして、この制度でいちばん取り返しがつかないのは、順番を間違えることです。
どういう制度か
ひとり親が、看護師や保育士などの資格を取るために養成機関へ通っている期間、生活費を支える給付です。学費の補助ではなく、通っている間の暮らしを支える性質のものです。
ここが重要な点です。資格を取るには学校に通う必要があり、通っている間は働けない、あるいは働ける時間が大きく減ります。その期間の収入をどうするかが最大の壁で、この制度はそこに直接あてられています。
いくら出るのか
支給額(こども家庭庁の公表内容より・国の基準)
| 区分 | 住民税非課税世帯 | 住民税課税世帯 |
|---|---|---|
| 修業期間中の月額 | 100,000円 | 70,500円 |
| 最後の1年間の月額 | 140,000円 | 110,500円 |
| 修了支援給付金(修了後に1回) | 50,000円 | 25,000円 |
最後の1年は増額されます。就職活動と国家試験が重なる時期を想定したものです。金額は年度や自治体の運用で変わることがあるため、窓口で申請時点の額を確認してください。
3年課程に非課税世帯で通った場合の目安
- 1〜2年目の月額100,000円 × 24か月
- 最後の1年の月額140,000円 × 12か月
- 修了支援給付金50,000円
合計 4,130,000円。ただし、これは修業開始と同時に申請できた場合の最大値です。申請が遅れた月の分は出ません。
支給期間の上限は4年です(准看護師から看護師の課程へ進む場合は上限5年)。
対象になる人
すべてを満たす必要があります
- 20歳未満の子を扶養しているひとり親であること
- 児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準にあること
- 養成機関で6か月以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること
- 就業または育児と修業を同時に行うことが、経済的な事情等により困難であること
- 過去にこの給付金を受けたことがないこと
「過去に受けたことがない」は見落とされます。この給付は一度きりです。途中でやめた場合の扱いも含めて、窓口で確認してください。
所得については、受給中に所得水準を超えてしまっても、その後1年間は引き続き対象とする経過措置を設けている自治体があります(さいたま市の例)。働き方が変わりそうなときは、自己判断で諦めず窓口に相談してください。
対象になる資格
対象になり得る資格の範囲
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 医療・福祉の国家資格 | 看護師、准看護師、保健師、助産師、介護福祉士、社会福祉士、保育士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、歯科技工士、視能訓練士、言語聴覚士 |
| その他の資格 | 製菓衛生師、調理師など |
| デジタル分野の民間資格 | シスコシステムズ認定資格、LPI認定資格など(こども家庭庁の案内に例示) |
| 教育訓練の指定講座 | 雇用保険法の指定教育訓練講座のうち、訓練期間が6か月以上のもの(自治体により扱いが異なります) |
どの資格が対象かは自治体が定めます。同じ資格でも扱いが分かれることがあるため、学校に申し込む前に必ず窓口で確認してください。
動く順番(ここが本体)
この制度で最も多い失敗は、学校に申し込んでから、あるいは入学してから制度を知ることです。理由は2つあります。
なぜ順番を間違えると損をするのか
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| さかのぼらない | 支給は申請を受け付けた日の属する月以降の分からです(京都市の例)。4月に入学して7月に申請すると、4〜6月分は出ません |
| 事前相談が必須の自治体がある | さいたま市は「申請にあたっては、事前相談を必ず受けていただく必要があります」と明記しています。相談を経ていないと受け付けられないことがあります |
つまり、学校を決める前に窓口に行くのが正解です。順番が逆だと、金額そのものが減ります。
この順で動く
- ① 市区町村のひとり親家庭の担当窓口に相談するこども家庭課・子育て支援課などです。学校を決める前に行ってください。事前相談が要件になっている自治体があります。
- ② 対象になるか、どの資格が対象かを確認する自分の所得区分、扶養している子の年齢、狙う資格が対象か。ここで対象外だと分かれば、計画を変えられます。
- ③ 養成機関を決める6か月以上のカリキュラムであること、対象資格が取得できることを、窓口で確認した条件と照らします。
- ④ 修業を開始したら、速やかに申請する支給は申請月からです。1か月遅れれば1か月分が消えます。
- ⑤ 在学中の届け出を欠かさない在籍の証明や所得の確認が定期的にあります。
- ⑥ 修了したら30日以内に修了支援給付金を申請する京都市は「修了日の翌日から30日以内」と明記しています。卒業後は手続きが重なるので、先にカレンダーに入れてください。
2つの締切
忘れると金額が減る/消える2点
修業開始から申請までの期間
修了後の申請期限
資格を取ったあとの働き方も、先に見ておく
取得後にどういう求人があるかを知っておくと、資格の選び方が変わります。相談は無料です。
- 求人内容・支援範囲は各社公式サイトの公表値です
- 相談は無料
- 対応領域は運営元により異なります
雇用保険の給付との違い
「学び直しにお金が出る制度」はほかにもあります。性質が違うので、混同すると計画が狂います。
よく混同される3つ
| 高等職業訓練促進給付金 | 教育訓練給付(雇用保険) | 生活福祉資金(社協) | |
|---|---|---|---|
| 性質 | 給付(返済不要) | 給付(返済不要) | 貸付(返済あり) |
| 何に対して出るか | 修業期間中の生活費 | 受講費用の一部 | 学費・生活費の立て替え |
| 前提 | ひとり親であること・所得要件 | 雇用保険の被保険者期間 | 低所得世帯であること |
| 窓口 | 市区町村(ひとり親担当) | ハローワーク | 市区町村の社会福祉協議会 |
| 受け取り方 | 毎月 | 受講後に精算(後払い) | 毎月の貸付 |
併用できるかは制度と自治体の運用によります。窓口では、いま受けている・受ける予定のものをすべて伝えてください。片方だけ話すと、あとで調整が入ります。
教育訓練給付のしくみは公的給付と職業訓練の使い分けにまとめています。あわせて確認してください。
いちばん右の列にある社会福祉協議会の貸付は、自分の学び直しではなく、子どもの進学に使うことが多い制度です。中身と使う順番は進学の初期費用と教育支援資金にまとめています。給付と貸付を混ぜて考えないでください。返済の有無がまったく違います。
よくある失敗
学校を決めてから窓口に行く
事前相談が要件の自治体では、相談を経ていないと申請できないことがあります。また、狙った資格が対象外だと分かるのも窓口です。順番を逆にしない。
入学してから申請する
支給は申請月からで、さかのぼりません。3か月遅れれば、非課税世帯で30万円分が消えます。
修了支援給付金を申請し忘れる
期限のある手続きです。卒業と就職の準備が重なる時期なので、修了日が決まった時点で日付を押さえてください。
所得が上がったから対象外だと自己判断する
経過措置を設けている自治体があります。判断する前に窓口へ。
貸付制度と混同する
この給付は返済不要です。社会福祉協議会の生活福祉資金は貸付で、返済があります。両者は別物です。
よくある疑問
学費も出ますか。
通信制や夜間の課程でも対象になりますか。
途中でやめた場合はどうなりますか。
児童扶養手当を受けていないと対象外ですか。
民間資格でも対象になりますか。
働きながらでも受けられますか。
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一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。